産業廃棄物を大量に排出する事業者には、通常の排出事業者責任に加え、廃棄物処理法に基づく特別の義務が課される。そのひとつが産業廃棄物処理計画書の作成・提出義務である。本記事では、処理計画書の法的根拠、記載事項、実施状況報告および公表制度の概要を整理する。

処理計画書の作成・提出義務の根拠

 廃棄物処理法第12条第9項は、前年度の産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く)の発生量が政令で定める量以上となった事業者(多量排出事業者)について、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出することを義務付けている。

…政令で定めるもの(次項において「多量排出事業者」という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。(法第12条第9項)

 政令(施行令第6条の3)が定める基準量は前年度1,000トン以上である。該当するかどうかは事業場ごとに判断し、発生量は中間処理が行われる前の段階での重量を原則とする。

提出期限と提出先

 処理計画書の提出期限は、当該年度の6月30日までとされている(施行規則第8条の4の5)。提出先は原則として都道府県知事であるが、政令市の区域内に事業場がある場合は当該市長が提出先となる。製造業等は事業場ごとに計画書を作成することが基本であり、建設業等では支店等の単位で判断するケースもある。

処理計画書の主な記載事項

 処理計画書(施行規則様式第二号の八)には、前年度の廃棄物の種類別発生量と当年度の減量目標、委託先を含む収集・運搬および処分の方法、再生利用の取組内容、廃棄物の発生抑制に向けた具体的な措置などを記載する。計画は自社の廃棄物管理体制を対外的に示す文書として機能するため、実態に即した内容で作成することが求められる。なお、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)を50トン以上排出する事業場については、電子マニフェストの使用に関する記載欄も設けられており、義務該当の有無を明示しなければならない。

実施状況報告と公表制度

 処理計画書を提出した多量排出事業者は、翌年度の6月30日までに計画の実施状況を都道府県知事に報告しなければならない(法第12条第10項)。さらに、都道府県知事は提出された処理計画書および実施状況報告書を環境省令で定めるところにより公表するものとするとされており(法第12条第11項)、実務上はインターネット上での開示が行われており、事業者の取組状況が広く社会に開示される仕組みとなっている。

特別管理産業廃棄物の場合

 特別管理産業廃棄物については、法第12条の2第10項に別途規定が置かれている。前年度の発生量が50トン以上となった事業場を設置する事業者は、特別管理産業廃棄物処理計画を当該年度の6月30日までに提出しなければならない。また、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上であった事業場は、委託処理の際に電子マニフェストの使用が義務付けられる(法第12条の5第1項)。この義務の有無は年度ごとに判断されるため、発生量の変動がある事業者は毎年度確認が必要である。

 処理計画書の提出は、廃棄物の排出抑制と適正処理を対外的に示す機会でもある。提出期限や記載事項を正確に把握し、計画と実績の両面で適切に対応することが求められる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗