
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)において、廃棄物行政の実務を担う主体は都道府県および政令市(指定都市・中核市等)である。環境省が制度の基本設計・基準策定を担う一方、許可審査・監督・指導といった日常的な行政事務は都道府県知事または政令市の市長が執行する仕組みになっている。
都道府県の基本的な責務
廃棄物処理法第4条第2項は、都道府県の責務を定めている。都道府県は、市町村が一般廃棄物の処理を適正に行えるよう必要な技術的援助を与えることに努めるとともに、当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況を把握し、産業廃棄物の適正な処理が行われるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。なお、技術的援助に加えて財政的援助も行うのは国の役割であり(第4条第3項)、都道府県と国でそれぞれ異なる役割が法律上明確に区分されている。
廃棄物処理計画の策定義務
第5条の5は、都道府県に対して「廃棄物処理計画」の策定を義務付けている。この計画には、当該都道府県の区域内における廃棄物の発生量・処理量の見込み、廃棄物の減量その他適正な処理に関する基本的事項、一般廃棄物の適正処理を確保するために必要な体制に関する事項などが定められる。
条文では次のとおり規定されている。
都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画(以下「廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。(第5条の5第1項)
計画の策定・変更に際しては、審議会等の意見聴取と関係市町村の意見反映が義務付けられており、広域的な視点から地域の廃棄物行政を方向付ける計画として機能する。
産業廃棄物に関する許可・監督権限
産業廃棄物収集運搬業および処分業の許可は、原則として都道府県知事が行う。許可申請の審査にとどまらず、許可後の事業者に対する立入検査、改善命令、報告徴収、そして許可の取消しといった監督権限も都道府県知事に付与されている。産業廃棄物の処理が法令基準に適合して行われているかを継続的に確認し、違反があれば行政処分を下す機能は、都道府県の中核的な役割である。
政令市への権限移譲(第24条の2)
廃棄物処理法第24条の2は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、政令で定める市の長が行うことができると規定している。
この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長が行うこととすることができる。(第24条の2)
この「政令で定める市」には、地方自治法上の指定都市(政令指定都市)および中核市等が該当する。これらの政令市の市長は、自らの管轄区域内で産業廃棄物処分業の許可、処理施設の設置許可、マニフェスト報告の受理といった事務を、都道府県知事に代わって処理する権限を持つ。
なお、平成23年(2011年)の法改正により、積替保管を伴わない収集運搬業の許可は都道府県に一元化され、原則として都道府県の許可のみで当該都道府県内全域での収集運搬が可能となった。ただし、積替保管を伴う収集運搬業や処分業の許可については、引き続き政令市が管轄する場合がある点に注意が必要である。
実務上の留意点
廃棄物処理業者や排出事業者にとって重要なのは、申請・届出・報告の提出先が事業の種類と施設の所在地によって異なるという点である。施設や事業場が政令市の管内にある場合は、当該政令市の市長が許可権者となる。許可権者を正確に把握した上で手続きを進めることが、適法な事業運営の第一歩となる。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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