産業廃棄物処理委託契約書の類型について

～適切な契約で法令遵守と信頼性を確保～

産業廃棄物を適正に処理するためには、排出事業者が処理業者と締結する「処理委託契約書」の内容が極めて重要です。特に法令（廃棄物処理法）に基づいた書面契約が義務付けられており、内容不備や不適切な契約は行政処分や刑事罰の対象となる可能性もあります。

本記事では、処理委託契約書の主な類型を解説し、契約締結の際に注意すべきポイントを紹介いたします。

📘 処理委託契約書の基本構造

処理委託契約書は大きく分けて、以下の2類型に分類されます：

1. 収集運搬委託契約

• 対象：廃棄物の収集・運搬
• 相手方：産業廃棄物収集運搬業の許可を有する業者
• 記載事項の例：
  • 対象廃棄物の種類
  • 運搬の範囲（排出場所から中間処理場まで等）
  • 運搬経路・車両
  • マニフェストの交付義務
  • 緊急時対応方法

2. 処分委託契約

• 対象：中間処理または最終処分
• 相手方：産業廃棄物処分業の許可を有する業者
• 記載事項の例：
  • 処分内容（焼却、破砕、埋立など）
  • 処分施設の所在地
  • 処分方法に係る技術的な仕様
  • 処分後のマニフェスト処理義務
  • 事故・違反発生時の連絡義務

📝 その他の類型（補足）

● 一括契約型

• 収集運搬と処分を同一業者が行う場合、**「一括契約書」**としてまとめることも可能です。
• ただし、収集運搬と処分それぞれの記載事項をきちんと明記する必要があります。

● 再委託型

• 元請け処理業者が他の処理業者へ再委託を行う場合も、再委託に関する明確な契約と同意が必要です（無断再委託は禁止）。

✅ 契約書作成のチェックポイント

• □ 相手業者が許可を有しているか確認（許可証写し添付）
• □ 契約の有効期間を明記（原則1年更新）
• □ 処理責任の所在（排出事業者責任）を明記
• □ 契約日と署名押印
• □ 電子契約であってもPDF保存・印刷可能な形式で保管

📌 まとめ

産業廃棄物処理委託契約書は、「排出事業者責任」の原則に基づき、適切な業者との明確な取り決めが必要です。契約書の内容が不備な場合、違法な処理や不法投棄につながるリスクもあります。

行政書士としては、法令に準拠した契約書作成を支援することが、排出事業者の信頼と持続可能な廃棄物処理体制の構築につながるものと考えます。

投稿者プロフィール

吉田哲朗

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