産業活動においては、様々な化学物質を含む排水や廃棄物が発生します。これらをそのまま環境中に排出してしまうと、環境汚染や人体への悪影響を引き起こすおそれがあるため、適切な処理が必要です。その中でも広く活用されているのが「中和等化学処理」です。本記事では、その基本的な仕組みや活用例についてわかりやすく解説します。


中和等化学処理とは?

中和等化学処理は、化学反応を利用して有害物質を無害な状態に変換する処理方法です。特に酸性・アルカリ性の排水を中性に調整する「中和処理」は最も基本的な工程の一つです。さらに、酸化還元反応・沈殿反応・吸着反応など、目的に応じてさまざまな化学処理が組み合わされます。


中和処理の基本

例えば、以下のような反応が中和処理で用いられます。

  • 酸性排水(硫酸など)
     → 消石灰(水酸化カルシウム)や水酸化ナトリウムを加え中和
  • アルカリ性排水(苛性ソーダなど)
     → 硫酸や塩酸などの酸を加え中和

このようにpH値を適正範囲(概ねpH 5.8〜8.6)に調整し、下水道や公共用水域に安全に放流できる状態にします。


その他の化学処理方法

中和処理に加えて、以下のような化学処理が行われることもあります。

処理方法主な用途・目的
酸化処理シアン・フェノール・有機物の分解
還元処理六価クロム・金属イオンの還元
沈殿処理重金属除去(硫化物沈殿、水酸化物沈殿)
吸着処理活性炭による有機物吸着

中和等化学処理のメリット

  • 比較的設備がシンプルで導入しやすい
  • 短時間で効果が得られる
  • 適切に管理すれば高い処理性能が得られる

注意点・課題

  • 薬品管理や投与量の調整が重要
  • 副生成物(スラッジなど)の処理が必要
  • 薬品コストが発生する

活用される主な分野

  • メッキ・表面処理工場
  • 製薬・化学工業
  • 食品工場
  • 産業廃棄物中間処理施設

まとめ

中和等化学処理は、排水や廃棄物処理における重要な技術のひとつです。法令で定められた排出基準を満たすためにも、安定した運転と適切な管理が不可欠です。事業者の皆様におかれましては、専門業者と連携しながら、適切な処理を進めていただくことをおすすめいたします。

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