ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、かつて電気機器の絶縁油などに広く使用されていた化学物質です。熱に強く、電気を通しにくい特性がある一方で、環境中で分解されにくく、生体内に蓄積しやすいという毒性が問題となり、現在では製造・使用ともに禁止されています。廃棄物となったPCBは、環境保全の観点から厳格な管理と処分が義務づけられていますが、特に重要なのが「高濃度PCB廃棄物」「低濃度PCB廃棄物」の区別です。

1.高濃度PCB廃棄物とは

高濃度PCB廃棄物とは、PCBを高い濃度で含む使用済み製品やその残留物のことを指します。具体的には、1972年までに製造された変圧器やコンデンサー、安定器などが該当し、PCBがそのまま封入されているケースが多いため、取り扱いには特に注意が必要です。これらは環境省が指定する特別な処分施設でしか処理できません。

また、高濃度PCB廃棄物の処分には期限が設けられており、地域や廃棄物の種類によってその時期は異なるものの、すでに多くの処分期限が過ぎているため、未処分の廃棄物がある事業者には行政指導が行われるケースもあります。

2.低濃度PCB廃棄物とは

一方、低濃度PCB廃棄物とは、絶縁油や機器の中に微量のPCBが混入しているものを指します。主に1980年代以降に製造された機器の中に、絶縁油のリサイクル過程などを通じて意図せずPCBが混入した例が多く見られます。

低濃度とはいえ、環境や健康に与える影響を考慮し、こちらも厳しい規制のもとで処理が求められています。処理施設は高濃度PCBと比べると増えてきていますが、事前の分析や届出が必要な点は変わりません。濃度測定で0.5mg/kg以上と判明した場合は、PCB廃棄物として扱われるため注意が必要です。

3.事業者がとるべき対応

PCB廃棄物を保管している事業者は、保管状況を都道府県などに報告する義務があります。また、処分期限内に確実な処理を行うためには、早期の分析・識別と、専門業者との連携が欠かせません。とくに高濃度PCBは処分可能施設が限られているため、早めの手続きが必要です。

低濃度PCBについても、混入の可能性がある機器を保有している場合は、油のサンプルを分析に出し、適切な処理計画を立てることが求められます。

4.まとめ

PCB廃棄物の管理は、法令に基づいた適切な対応が求められる重要な環境保全課題です。高濃度か低濃度かを正確に見極め、それぞれのルールに基づいて処分を進めることが、企業の責任といえます。放置や誤処理は法的リスクや環境への影響につながるため、早期かつ確実な対応が求められます。

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