廃棄物の取り扱いは、現代社会において避けて通れない課題です。特に事業活動の現場では、廃棄物の適切な処理が求められ、違反すれば行政指導や罰則の対象となることもあります。そこで今回は、「廃棄物とは何か?」について、法律の定義や環境省通知を基に整理します。

1.廃棄物の概念とは

一般的に「廃棄物」とは、不要になったもの、使わなくなったもの、または捨てられるものを指します。ただし、このような曖昧な感覚的定義ではなく、法律では明確な定義がなされています。

2.廃棄物処理法における定義

廃棄物の定義は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(いわゆる“廃棄物処理法”)」第2条に記載されています。

「この法律において“廃棄物”とは、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、動植物性残さ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質及びこれに汚染されたものを除く)をいう。」

この定義により、物理的形状や排出形態を問わず、不要と判断されるものは広く「廃棄物」に該当する可能性があります。

3.“不要物”とは何か

この法律でいう「不要物」とは、所有者にとって「利用価値がなく、処分されるもの」という意味合いが含まれます。環境省通知では「客観的に見て再利用される蓋然性が乏しいもの」「保管状態や量、形状からみて、廃棄の意図が認められるもの」も不要物とされています。

逆に、例え一時的に使われていなくても、明確に再利用・販売等の意思があり、かつその証拠がある場合は「廃棄物」に該当しないケースもあります。

4.事業者に求められる判断基準

廃棄物かどうかの判断は、最終的には個々の状況によって異なります。環境省が発出している通知(例:平成3年3月27日付環整企第60号通知)やガイドラインでは、「保管目的」「管理状態」「搬出経緯」などを複合的に評価することが示されています。

事業者が「これは廃棄物ではない」と主張する場合でも、適切な保管記録、再利用計画、出荷実績等の裏付けが必要です。

5.産業廃棄物と一般廃棄物の違い

法律上、廃棄物は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれます。前者は事業活動に伴って発生する廃棄物のうち政令で定められた20種類で、特に厳しい管理が求められます。後者は家庭ごみなどを含むもので、市町村が処理責任を負います。

この分類によって、処理責任者、収集運搬業者の許可範囲、マニフェスト義務の有無などが大きく異なる点に注意が必要です。

6.まとめ:判断に迷ったら専門家に確認を

廃棄物かどうかの判断は、処分方法や契約書類にも大きく影響します。法律・通知をふまえて冷静に判断することが重要です。もし迷う場合は、専門機関や行政の相談窓口に早めに確認することで、法的リスクを回避することができます。

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