
1 合資会社の役員と社員の位置づけ
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員から成り立ちます。
通常、有限責任社員は出資範囲のみに責任を負い、業務執行権は持たないとされています。
しかし、定款で業務執行を認めた場合や、実務上経営に深く関与している場合には、有限責任社員であっても「役員的な立場」とみなされることがあります。
2 政令使用人という制度
許認可審査においては、**「政令使用人」**という概念が重要です。
これは、役員でなくとも、営業所長や支店長など経営判断を行う地位にある人物を役員と同等に扱う仕組みです。
例えば、建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可の審査では、名目上の役員かどうかではなく、実態として事業運営を担っているかが問われます。
3 有限責任社員が政令使用人とされる場合
有限責任社員であっても、単なる出資者にとどまるなら政令使用人には該当しません。
しかし、日常的に経営会議に参加し、業務方針の決定に関与している場合、または実質的に営業所の責任者として判断を行っている場合は、政令使用人とされる可能性があります。
特に中小規模の合資会社では、有限責任社員が事実上の経営幹部となっているケースが少なくなく、この場合は許認可の審査対象となります。
4 審査における確認ポイント
行政庁は、肩書きではなく実態を精査します。
- 会議への参加状況
- 業務執行社員との関与度合い
- 経営判断への影響力
これらを総合的に判断し、有限責任社員が**「形式だけの出資者」か、それとも「実質的な経営者」かを見極めます。
したがって、書面だけでなく、議事録や組織図といった裏付け資料の提出**が重要になります。
5 実務上の影響
有限責任社員が政令使用人と扱われると、許可要件の審査範囲が広がることになります。
- 欠格事由に該当するかどうかの判断
- 経営業務管理責任者としての経験認定
- 許可申請時の責任者確認
これらに直接関わるため、合資会社では有限責任社員の役割を曖昧にせず明確化することが不可欠です。
形式的には社員であっても、実務で経営に関与しているなら、政令使用人としての責任を負う可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
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