
1 設立の背景
環境事業団は、公害問題や産業廃棄物処理など、環境分野での公共的課題に対応するために設立された組織です。高度経済成長期には産業活動が急速に拡大し、それに伴って大気汚染、水質汚濁、廃棄物問題が深刻化しました。
これらの課題に対して、国や自治体だけでは十分に対応できない状況があり、民間の力も活用しながら環境対策を推進する仕組みが必要とされました。そこで、公共性を持ちながら柔軟に活動できる法人として、環境事業団が設立されたのです。
2 主な役割
環境事業団の役割は多岐にわたりますが、大きく分けると以下のように整理されます。
- 環境施設の整備支援
廃棄物処理施設やリサイクル施設の建設に対し、資金貸付や技術的支援を行い、地域ごとの処理体制を整備しました。 - 調査研究と技術開発
公害防止技術や再生資源の活用に関する研究を推進し、自治体や事業者に活用できるノウハウを蓄積しました。 - 人材育成と普及啓発
環境保全に関する研修やセミナーを実施し、企業や自治体職員、一般市民に対して環境意識を高める活動を行いました。 - 資金融資と助成
事業者が環境対応型の設備を導入する際に、低利の資金を融資することで、環境投資を後押ししました。
3 産業廃棄物分野への貢献
産業廃棄物処理における環境事業団の役割は非常に重要でした。特に、大規模な処理施設や中間処理施設の整備を進めるためには、多額の資金と高度な技術が必要です。個々の事業者だけでは難しい案件についても、環境事業団の支援によって事業化が進められました。
また、不法投棄や不適正処理が社会問題化する中で、調査研究や情報提供を通じ、処理の適正化や透明性の向上に寄与しました。
4 後継組織と現在の位置づけ
環境事業団はその後、組織再編により**独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)**へと引き継がれています。ERCAは大気汚染健康被害の救済業務や地球温暖化対策の推進など、新しい時代の環境課題に対応する役割を担っています。
つまり、環境事業団が果たした基礎的な役割を土台にしながら、現代の環境政策に合わせた形へと進化しているのです。
5 まとめ
環境事業団は、環境施設整備・技術研究・人材育成・資金融資といった幅広い分野で大きな役割を担い、日本の環境行政を支える基盤を築きました。
その取り組みは現在も受け継がれ、環境問題が多様化する中で重要な存在となっています。環境事業団の歴史を理解することは、産業廃棄物処理や環境保全の今後を考えるうえで欠かせない視点といえるでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
- 産廃収集運搬業許可特化事務所
- 行政書士吉田哲朗事務所
産業廃棄物収集運搬許可申請なら産廃収集運搬申請特化の行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。
個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
・JWセンターの収集運搬過程終了の行政書士による講習試験アドバイス
・経理的基礎である財務把握はもちろん、中小企業診断士とタイアップ
・最短3日で申請!
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)
YouTube
投稿者プロフィール

最新の投稿
お役立ちコラム2025年11月15日中間処理はどうして必要か
お役立ちコラム2025年11月14日日本の資源はどのように使われているか
お役立ちコラム2025年11月13日不要物でも「産業廃棄物」にならないものがある
お役立ちコラム2025年11月12日厳重な管理が必要な「特別管理産業廃棄物」とは







