特別管理産業廃棄物とは

産業廃棄物の中でも、特に人の健康や生活環境に重大な被害を与える恐れがあるものは「特別管理産業廃棄物」に区分されます。その代表例のひとつが 廃石綿等(はいせきめんとう) です。石綿(アスベスト)は微細な繊維が肺に入り込みやすく、石綿肺や中皮腫などの重大な健康被害を引き起こすため、法律で厳しく規制されています。


廃石綿等の種類

廃石綿等には以下のようなものが含まれます。

  1. 吹付け石綿
    建築物の耐火・断熱材として使用されていたもの。解体や改修工事の際に大量に発生します。
  2. 石綿含有保温材・耐火被覆材
    配管やボイラー周辺に使われていた保温材など。剥離すると飛散の危険性が高まります。
  3. 石綿含有建材(切断・破砕されたもの)
    石綿スレート板、ビニル床タイルなど。切断時に粉じんが発生しやすいため、扱いには注意が必要です。

法律での取り扱い

廃石綿等は、**廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物」**に指定されています。取り扱いにあたっては、以下の規制が課されています。

  • 飛散防止措置の徹底
    解体時には湿潤化や密閉作業などを行い、石綿粉じんが飛散しないよう管理します。
  • 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置
    事業場ごとに専任の責任者を置き、保管・運搬・処理の状況を適切に管理することが義務づけられています。
  • マニフェストの交付義務
    運搬・処理を委託する際には、マニフェスト伝票の交付が必須です。特別管理産業廃棄物であることを明示し、最終処分まで確実に追跡できる体制を整えなければなりません。

処理の流れ

  1. 分別・梱包
    廃石綿は飛散防止のため、二重袋や密閉容器に収納します。
  2. 運搬
    専用の許可を持つ収集運搬業者のみが取り扱い可能です。車両には飛散防止の措置を講じる必要があります。
  3. 処分
    最終的には、安定型処分場ではなく、管理型処分場に埋立処分されます。飛散防止の観点から、厳格な基準で埋め立てが行われます。

注意すべきポイント

  • 廃石綿等を「通常の産業廃棄物」と同じ扱いで処分することは法律違反になります。
  • 運搬や処分を委託する際には、必ず「特別管理産業廃棄物」の許可を有する業者を選定する必要があります。
  • 解体工事を発注する際には、事前調査により石綿の有無を確認し、適切な処理計画を立てることが重要です。

まとめ

廃石綿等は、健康被害のリスクが極めて高いため、特別管理産業廃棄物として特別な取り扱いが義務づけられている廃棄物です。適切な分別・梱包・運搬・処分を行うことで、地域の安全と環境保全につながります。

事業者は、法令遵守を徹底するとともに、専門業者と連携しながら安全に処理を進めることが求められています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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