
1 積替え保管を行う業者の位置づけ
**産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)**とは、収集した廃棄物を一時的に保管し、別の車両に積み替えて再び運搬することができる事業者を指します。
単に運搬だけを行う「積替え保管なし」とは異なり、中間拠点としての施設(ヤード・ストックヤード)を設置する必要があります。このため、許可の難易度は高く、施設要件・周辺環境・安全管理体制など多面的な審査が行われます。
2 主に想定される事業者
この許可を取得するのは、以下のような業者が中心です。
- 広範囲の収集運搬を行う中堅・大手の廃棄物処理業者
- 建設廃棄物や金属くずなど多種類の廃棄物を扱う企業
- 自社処分場やリサイクル工場を持ち、積替え地点を中継拠点として活用する事業者
また、近年では再資源化のための効率的な物流を目的に、積替え保管施設を設ける企業も増えています。
3 施設の設置要件
積替え保管施設には、次のような基準が定められています。
- 区画された敷地・舗装・排水処理設備があること
- 飛散・流出・悪臭防止のための構造を備えること
- 保管量・保管期間を明確に管理できること
- 消防・衛生・騒音対策など関係法令を遵守していること
これらの要件を満たすことが、許可取得の前提となります。特に周辺住民への影響や苦情防止策も重要な審査項目です。
4 許可審査の特徴
積替え保管ありの許可は、次のような点で厳格です。
- 施設図面・管理計画書・現地確認が必要
- 申請書類だけでなく、現地審査・立入検査が行われることもある
- 収集運搬車両の台数や運行計画、保険・リスク対応体制などの詳細資料が求められる
これらの要件を満たすには、十分な準備と経験が必要になります。
5 今後の傾向と留意点
環境行政の方向性として、「集約・効率化」「再資源化の促進」が重視されています。
そのため、今後は単なる運搬業者よりも、積替え保管を通じて資源循環に貢献できる体制を持つ事業者が評価される傾向にあります。
一方で、許可後も定期報告・変更届・施設管理の遵守が求められ、継続的な法令対応が不可欠です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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