
1 不要になったもの=産業廃棄物ではない
企業活動の中で生じた不要物は、すべてが産業廃棄物に該当するわけではありません。
「廃棄物」とは、占有者が自ら利用せず、他人に有償で譲渡できないものをいいます。
したがって、同じ「不要物」であっても、再利用できる価値があるものや、継続的に取引されているものは、法的には「廃棄物」にあたらない場合があります。
たとえば、鉄スクラップや古紙、再生可能なプラスチックなどは、リサイクル原料として市場価値があり、有償取引が成立している限り、廃棄物扱いにはなりません。
2 判断の基準となる「有償性」と「意図」
廃棄物かどうかの判断は、客観的な状況に基づいて行われます。
特に重要なのが、**「有償性(お金が発生するか)」と「排出者の意図」**です。
- 有償で引き取られるもの
→ 市場価値があると認められ、産業廃棄物にならないことが多い。 - 無償または処理費用を支払って引き取られるもの
→ 通常は廃棄物とみなされる。
また、排出者の「処分する意思」が明確であれば、たとえ価値のあるものでも廃棄物と判断される場合もあります。
つまり、価値の有無だけでなく、意図と取引実態が総合的に判断されるのです。
3 具体的な例で見る判断の違い
同じ「金属くず」でも、
・製品製造の過程で発生した鉄粉や切削くずが再利用目的で売却される場合 → 廃棄物ではない
・溶解できず利用見込みのない鉄くずを処理業者に費用を払って処分する場合 → 産業廃棄物
同様に、
・古紙を回収業者に売却している印刷工場 → 廃棄物ではない
・品質が劣化し、引き取り先がない古紙を廃棄する場合 → 産業廃棄物
このように、**「同じ素材でも、扱い方で区分が変わる」**点が重要です。
4 誤った判断によるリスク
「これはリサイクルだから廃棄物ではない」と誤って判断し、不適正な取扱いをすると、
**廃棄物処理法違反(不法投棄・無許可処理)**に問われるおそれがあります。
また、委託契約書やマニフェスト交付義務の違反にもつながるため、
**「産業廃棄物に該当するかどうか」**の判断は、慎重に行うことが求められます。
特に、処理費用を支払う取引形態であれば、原則として産業廃棄物に該当すると考えておく方が安全です。
5 まとめ:価値と意思で判断が変わる
不要物の扱いは、**「客観的な価値」と「排出者の意思」**によって決まります。
有償取引が成立し、再利用目的で流通しているものは廃棄物ではありませんが、
単に不要になって処分する場合は、産業廃棄物としての適正処理が必要です。
企業は、日常業務の中で発生する不要物を整理し、法的な区分を正確に理解することが重要です。
曖昧なケースでは、専門家や行政機関へ相談し、適切な判断を行うことが望まれます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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