1.処理困難通知制度とは何か

産業廃棄物処理において、排出事業者から委託を受けた処理業者は、受託した廃棄物を契約どおり適正に処理できない状況が生じた場合、速やかに排出事業者へ通知する義務があります。
これが 「処理困難通知制度」 です。

通知の目的は、処理の停滞や不適正処理・不法投棄を未然に防ぎ、廃棄物の適正処理を確保することにあります。
排出事業者は、この通知を受けた段階で、速やかに状況を把握し、適切に対応する責任があります。


2.通知が必要となる主なケース

処理業者が契約どおり処理できなくなる可能性は、さまざまな理由で発生します。代表例は次のとおりです。

(1)処理施設の故障・停止

焼却炉の故障・破損、選別ラインの停止など、施設のトラブルによって処理が続けられなくなる場合。

(2)処理量の急増や受入制限

災害・繁忙期などで廃棄物の発生量が急増し、契約量を大幅に上回る受入が困難になった場合。

(3)許可の更新・行政指導による業務停止

処理業者が行政指導を受けた、あるいは許可更新に支障が生じて一時的に稼働できない場合。

(4)廃棄物の性状が契約と異なる

受け入れた廃棄物が、性状・含有物質・危険性など、契約時の想定と大きく異なるため、通常の処理方法では対応できない場合。


3.排出事業者が取るべき初動対応

処理困難通知を受けた際、排出事業者は単に別業者へ委託先を変更するだけでは不十分です。
まず、事実確認と原因把握が重要です。

(1)通知内容の確認

次の事項を整理して確認します。

  • 処理が困難になった理由
  • 処理再開の見込み
  • 現在の在庫量・滞留量
  • 行政指導の有無

(2)必要に応じて現地確認

現場状況が不明確な場合、実際に処理施設を確認し、状況を把握することが望ましいとされています。

(3)行政庁への相談

重大なトラブル(大量滞留・処理停止の長期化など)が予想される場合は、所管行政庁へ相談することで、適切な対応方針が明確になります。


4.委託契約の再検討と対応策

(1)契約の見直し

処理困難の原因が契約内容に起因している場合(量・性状の想定不足等)、次の契約見直しが必要です。

  • 受入可能量の明確化
  • 廃棄物の性状をより細かく規定
  • 滞留を防ぐための処理期限の明文化

(2)委託先の追加・切替検討

処理が長期間再開できない場合は、適正に許可を取得した別の処理業者へ委託を切り替える判断が求められます。

複数の業者に分散して委託しておくことで、緊急時のリスク軽減にもつながります。

(3)マニフェスト管理の徹底

処理困難通知を受けたということは、同時に マニフェストの遅延や管理不備のリスクが高まることを意味します。

  • E票返送の遅延状況
  • 滞留量の把握
  • 電子マニフェストのリアルタイム確認

これらを重点的に確認する必要があります。


5.再発防止に向けたポイント

(1)定期的な処理業者の実地確認

委託基準に基づき、処理業者の施設・保管量・処理能力を定期的に確認することで、処理困難のリスクを早期に察知できます。

(2)廃棄物の性状情報の精度向上

排出事業者側が廃棄物の情報を正確に提示することで、受入後のトラブルを大幅に防止できます。

(3)BCP(事業継続計画)としての委託先多様化

災害・事故・操業停止などの想定外事象に備えて、複数の処理業者と契約しておくことは、昨今のリスク管理では非常に有効です。


6.まとめ

処理困難通知制度は、廃棄物処理の停滞や不適正処理を防ぐための重要な仕組みです。
通知を受けた排出事業者は、迅速な状況把握・行政庁への相談・契約見直し・委託先の再検討など、多角的な対応が求められます。

適切な初動対応と再発防止策を講じることで、安定した廃棄物処理体制を維持し、事業リスクを最小限に抑えることができます。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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