
1.拡大生産者責任(EPR)とは何か
拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility)とは、製品を作った企業が、その製品の使用後・廃棄後まで責任を負うという考え方です。
従来の「排出者責任」に加えて、製造・販売した事業者がリサイクルや適正処理の仕組みづくりに主体的に関わることを求める制度であり、日本の循環型社会形成の中心政策として位置づけられています。
EPRが導入されている主な製品として、家電、自動車、容器包装、パソコン、タイヤなどがあります。
2.拡大生産者責任が導入された背景
日本の廃棄物処理では、生活環境保全と資源循環の両立が課題となってきました。特に以下の点が理由として挙げられます。
- 大量生産・大量廃棄による資源の枯渇リスク
- 高度な処理が必要な製品の増加
- 排出量の多様化により行政・排出者だけでは管理が困難
これらの課題に対応するため、製品そのものの設計段階からリサイクルを見据えた取り組みが必要となり、EPRが制度化されました。
3.EPRがリサイクルを推進するメカニズム
拡大生産者責任は、次の3つの作用によってリサイクルを大きく後押しします。
(1)製品設計段階からの環境配慮
企業はリサイクル費用を負担するため、次のようなコスト低減策=リサイクルしやすい設計を進めるようになります。
- 分解しやすい構造
- 単一素材の活用
- 再生材の利用
- 有害物質の削減
結果として、廃棄時の処理負担が減り、資源としての利用が進みます。
(2)リサイクル体制の整備と品質向上
家電4品目や自動車リサイクル法などでは、メーカー自身がリサイクル施設を整備し、再資源化工程を確立しています。
これにより、適正処理の徹底だけでなく、高純度の再生資源回収も可能になっています。
(3)不法投棄や不適正処理の抑止
メーカーが回収体制を持つことで、排出事業者・消費者が適正なルートで廃棄しやすくなります。
その結果、
「不当に安い処理業者へ流れる」
「不法投棄による環境負荷が生まれる」
といったリスクを抑える効果があります。
4.代表的な制度例
EPRが明確に導入されている制度は次のとおりです。
(1)家電リサイクル法
テレビ・冷蔵庫・エアコンなどの家電製品は、製造業者がリサイクル費用を負担して再資源化を実施します。
プラスチック、銅、鉄、ガラスなど多くの素材が回収されています。
(2)自動車リサイクル法
自動車メーカーは、エアバッグ類、フロン類、シュレッダーダストの再資源化・適正処理を義務づけられています。
車の資源はほぼ全量がリサイクルされる仕組みに進化しています。
(3)容器包装リサイクル法
ペットボトル・缶・ガラスびんなどでは、製造・利用事業者が再商品化義務を負うことで、全国的な回収・再資源化が進んでいます。
(4)小型家電リサイクル制度
自治体との連携により、携帯電話やパソコンなどのレアメタル回収が強化されています。
5.企業に求められる対応
EPRに対応するには、企業側も継続的な管理が求められます。
- 廃棄物の排出抑制・リサイクルしやすい設計への変更
- リサイクル費用・回収体制の見直し
- 委託先の適正性の確認(許可証・契約書・マニフェスト管理)
- 法令改正への継続的な情報収集
特に、産業廃棄物処理に関わる事業者は、排出者責任と並行して、製造者側の責任の動きにも注意していく必要があります。
6.まとめ
拡大生産者責任(EPR)は、製品のライフサイクル全体を通じて、「作る側」と「使う側」の責任を明確にし、適正処理とリサイクルを推進する重要な制度です。
企業は、環境配慮設計・適正処理体制の構築・委託管理の徹底を通じて、循環型社会の形成に貢献することが求められます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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