1.不法投棄とは何か

不法投棄とは、本来許可を受けた処理施設で処分すべき産業廃棄物を、山林・空き地・海岸・河川敷などに故意に捨てる行為を指します。
廃棄物処理法で厳しく禁止されており、排出事業者・運搬事業者・処分業者のいずれが関与した場合でも、行政処分や刑事罰の対象となります。

2.不法投棄が行われる典型的なパターン

不法投棄は突発的に行われるのではなく、いくつかの共通した流れがあります。代表的なケースを整理します。

(1)過度なコスト削減要求による“低価格業者”の選定

排出事業者が処理費用を過度に抑えようとすると、適正料金を大きく下回る見積りを提示する業者が選ばれてしまうことがあります。
そのような業者は、正式な処理施設での処理を行わず、不法投棄によってコストを浮かせるケースがあります。

(2)無許可業者への委託

見た目は「運搬してくれそうな車両」でも、産業廃棄物収集運搬業の許可を持っていない業者が存在します。
無許可業者は適正処理の義務を履行しないため、投棄して逃げる“持ち逃げ型”の不法投棄が発生しやすくなります。

(3)積替・保管施設を悪用した途中投棄

委託を受けた業者が、途中で廃棄物を降ろし、不法投棄するケースです。
マニフェストを発行していても、適切な管理が行なわれていない場合は途中投棄が起こり得ます。

(4)処理能力を超えた受託

中間処理業者が処理可能量を超える廃棄物を受け入れ、保管しきれなくなり、山積みのまま放置されるケースです。
これは「不法投棄」と同様に扱われ、排出事業者側も受託量の確認不足を問われる場合があります。

(5)解体現場・工事現場での現場放置

現場作業員が運搬せず、そのまま現場近くの空地や山林に投棄するケースです。
監督体制が不十分な現場で起きやすく、特に建設混合廃棄物や木くずで発生しやすい傾向があります。

3.不法投棄が行われる背景

不法投棄は単なるモラルの問題だけではなく、以下のような構造的要因があります。

(1)適正処理の費用を理解していない

廃棄物処理には、運搬・選別・破砕・減容・最終処分まで実際に多くの工程とコストが必要です。
排出事業者がこの構造を十分理解していないと、「安い方が得」という誤解が生まれます。

(2)委託契約・許可証確認の不足

許可証の確認を怠り、契約書も締結せずに処理を依頼した場合、
不適正処理の発生に気づく手段がなくなります。

(3)マニフェストの管理不足

マニフェストが適切に回収されず、E票の戻りも確認しない場合、途中投棄されても気づかないままになります。

4.不法投棄を防ぐために排出事業者が行うべきこと

排出事業者には「自らの責任で適正処理を確保する」義務があります。
具体的には次の行動が重要です。

(1)許可証の確認

収集運搬業者・中間処理業者の許可内容(品目・区域・期限)を必ず確認します。

(2)契約書の締結

委託契約書を作成し、
・委託区分(運搬・処分)
・品目
・数量
・料金
などを明確にします。

(3)マニフェストの適正管理

交付・回収・保存を適切に行い、E票が確実に返ってきているか確認します。

(4)適正料金での処理依頼

適正な処理には相応の費用が必要であることを理解し、異常に安い金額の業者を選ばないことが重要です。

5.まとめ

不法投棄は、コスト削減、無許可業者の利用、管理不足など、複数の要因が重なることで起こります。
排出事業者が適切に許可証・契約・マニフェストを確認し、適正料金で委託することで、多くの不法投棄は防止できます。
日常の小さな確認が、大規模な不法投棄を未然に防ぐ最も有効な手段です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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