産業廃棄物の不法投棄は、環境汚染だけでなく、行政指導・刑事罰・社会的信用の喪失など、事業者に重大なリスクをもたらします。
なぜ不法投棄は発生するのか――その背景には、いくつかの共通した構造があります。


1.処理費用の抑制を極端に追求してしまうため

不法投棄が起きる背景として最も大きいのが、「処理費用をできるだけ下げたい」という要望が過度になることです。
産業廃棄物には収集運搬・中間処理・最終処分まで、適正なコストがあります。

適正価格を大幅に下回る金額を提示する事業者がいる場合、その差額はどこかで不適正処理として吸収される可能性が高い とされます。


2.委託先の確認不足・選別基準の不明確さ

排出事業者が委託先を十分に確認しないまま契約することも、不法投棄の原因となります。

  • 許可証の確認不足
  • 施設の実地確認をしていない
  • 契約書の内容が目的に合っていない
  • マニフェストの運用が不十分

こうした状況では、委託した先が適正に処理しているか追跡できません。
結果として 排出事業者が法的責任を問われるリスク が高まります。


3.収集運搬と処理の工程理解が不足している

産業廃棄物処理は工程が複雑で、自治体によって運用基準も異なります。
そのため、排出事業者側で次の点を誤解しているケースが見られます。

  • 「運搬してくれる業者なら問題ない」と思ってしまう
  • 処分場までの流れ(中間処理→最終処分)を把握していない
  • 自社が負う最終責任の範囲を理解していない

工程を正しく理解しないまま委託すると、結果として不法投棄に巻き込まれる可能性があります。


4.委託契約書・マニフェストの管理が形骸化している

委託契約書とマニフェストは、適正処理を担保するための重要書類です。
しかし実務では次のようなケースが見られます。

  • 契約内容が古いまま更新されていない
  • 記載内容が工程に合っていない
  • マニフェストの確認・回収が徹底されていない

こうした管理不備が重なると、不法投棄が発生しても気づけず、排出事業者の管理責任が問われる結果となります。


5.利益優先や法令理解不足による意図的な不適正処理

一部の悪質な事業者が、利益を優先して意図的に不適正処理を行うケースもあります。

  • 収集した廃棄物を山中や空き地に投棄する
  • 処理能力を超える量を受け入れてしまう
  • 適正処理を装いながらコストを削る

排出事業者がこうした業者を見抜くには、事前確認・現場確認・継続的なモニタリング が欠かせません。


6.排出事業者の管理体制が整っていない

不法投棄は排出事業者の内部体制にも原因があります。

  • 現場ごとの担当者任せで統一ルールがない
  • 契約書・許可証のチェック基準が整備されていない
  • 廃棄物の分類が適切に行われていない

管理体制が不十分な場合、委託内容と実態が一致せず、結果として不適正処理につながりやすくなります。


まとめ

不法投棄は、単に委託先の問題ではなく、
排出事業者側のチェック体制・工程理解・委託契約の整理不足 が複合的に影響して発生します。

1.処理費用の極端な圧縮
2.委託先の確認不足
3.工程・責任範囲の理解不足
4.契約書・マニフェスト管理の形骸化
5.悪質事業者による意図的な不適正処理
6.排出事業者側の内部管理体制の不備

これらを避けるためには、
適正価格で信頼できる事業者を選び、委託契約とマニフェストを正確に運用すること が最も重要です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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