産業廃棄物処理施設を設置し、排出事業者が**自ら処分(自己処理)**を行っている最中に事故が発生した場合、単なる現場トラブルでは済みません。

廃棄物処理法上の責任、労働安全衛生法上の責任、さらには環境関連法令上の対応まで、複数の法的問題が同時に生じる可能性があります。

本記事では、事故発生時に求められる実務上の対応を整理します。


1.初動対応は人命確保と二次被害の防止

事故が発生した場合、最優先は人命の確保と被害拡大の防止です。

・作業員の安全確認
・負傷者がいる場合の救急要請
・火災・爆発の恐れがあれば消防通報
・設備の緊急停止

産業廃棄物処理施設では、可燃物・有害物質・重機設備などが存在するため、二次災害の防止が極めて重要です。

事故発生直後の対応は、後の行政判断にも影響するため、迅速かつ組織的な対応体制の有無が問われます。


2.廃棄物処理法上の事故時措置と届出

事故の内容によっては、廃棄物処理法第21条の2に基づく事故時の措置および届出が問題となります。

例えば、次のようなケースです。

・火災、爆発の発生
・廃棄物や処理物の飛散・流出
・放流水の異常や有害物質の漏えい
・生活環境保全上の支障が生じ、又は生じるおそれがある場合

このような場合、事業者は直ちに応急措置を講じるとともに、都道府県知事等へ届出を行う必要がある場合があります。

また、許可条件や自治体条例により、追加の報告義務が定められていることもあります。

報告を怠ったり、事実と異なる説明を行った場合、後の行政処分に影響する可能性があります。


3.環境関連法令への波及

事故態様によっては、廃棄物処理法だけでなく、他の環境法令が関係することがあります。

・未処理汚水の流出があれば水質関連法令
・ばい煙や有害ガスの異常発生があれば大気関連法令
・悪臭が発生すれば悪臭関連規制

適用の有無は事故の内容によりますが、客観的な測定・記録・原因究明を行うことが重要です。

記録が不十分な場合、責任範囲の判断が不利になることがあります。


4.労働災害としての対応

作業員が負傷または死亡した場合は、労働安全衛生法および労災保険法上の対応が必要になります。

・労働基準監督署への報告
・労働者死傷病報告の提出
・労災保険手続き
・再発防止策の策定

休業を伴う災害であれば、所定の報告義務が発生します。

自ら処分であっても、事業活動の一環である以上、労災対応は避けられません。


5.許可への影響

重大事故が発生した場合、それ自体で直ちに許可取消になるとは限りません。

しかし、次のような事情がある場合は、行政処分の対象となる可能性があります。

・維持管理基準違反
・安全管理体制の著しい不備
・命令違反
・虚偽報告

行政庁は、状況に応じて改善命令、施設使用停止命令、さらには許可取消を行う権限を有しています。

そのため、事故後の対応は、法令遵守と誠実な情報開示を基本に進める必要があります。


まとめ

産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分中の事故は、環境・労務・許可制度のすべてに関わる重大事案です。

重要なのは次の三点です。

・初動対応を迅速に行うこと
・法令に基づく届出・報告を適切に行うこと
・再発防止策を明確にすること

日頃から事故対応マニュアルを整備し、報告経路や役割分担を明確にしておくことが、事業継続の観点からも不可欠です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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