産業廃棄物の収集運搬業を営む場合、事業活動が複数の都道府県にまたがるケースは少なくありません。例えば、愛知県から岐阜県、三重県にかけて廃棄物を運搬する場合、それぞれの県に許可申請を行う必要があります。この点、建設業許可のように国土交通大臣が広域的な許可を発行できる仕組みとは異なり、環境省が一元的な許可権限を持たないのはなぜなのでしょうか。本記事では、この理由について解説します。


1. 廃棄物処理行政の基本原則は「地域ごとの責任」

産業廃棄物処理においては、**「排出された地域が責任を持って処理する」**という原則が法律上明確に定められています。廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では、処理や運搬に関する監督責任は、排出や処理が行われる各都道府県知事に付与されています。

これは、各地域の実情や環境保全上の課題が異なるため、地域単位での管理が適切とされているからです。例えば、同じ種類の産業廃棄物でも、ある県では厳しい搬入規制があり、別の県では埋立地の容量が限界に近いなど、事情が異なります。このため、環境省が一律に判断するよりも、地域に即した運用が望ましいとされています。


2. 許可権限を環境省が持たない理由

環境省は産業廃棄物処理に関する法律や制度の整備、全国的な基準の策定を担っています。しかし、実際の許可や監督権限は地方自治体が持つ仕組みになっています。

その背景には以下の理由があります。

  • 地方分権の考え方
    廃棄物処理は地域密着型の行政であり、現場に近い都道府県が監視・対応することが効率的とされます。
  • 立地条件や搬入規制の違い
    各県には独自の処分場や中間処理施設があり、受け入れ基準や環境対策も異なります。
  • 事故や不適正処理への即応性
    運搬中の事故や不法投棄が発生した場合、迅速な対応が必要です。地域行政が直接対応できる方が実効性が高いと考えられています。

3. 建設業許可との仕組みの違い

建設業許可は、事業の拠点が複数の都道府県にある場合、国土交通大臣が一元的に許可を出す仕組みです。これは、建設業務が全国的な契約や取引の中で展開される性質を持つため、全国規模での事業管理が必要とされているからです。

一方、産業廃棄物処理業は、**「処理行為が発生する場所の環境保全が最優先」**という観点から、各都道府県が主体となります。そのため、運搬ルートが複数県にまたがる場合でも、それぞれの県での許可取得が義務付けられています。


4. 複数県にまたがる場合の実務的ポイント

  • 収集運搬業者は、運搬経路に含まれる全ての都道府県で許可が必要です。
  • 積み替え保管施設を設置する場合は、その県の基準に沿った申請が求められます。
  • 各県で許可要件(車両や人員、保管施設基準)が微妙に異なるため、事前の調査が重要です。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業においては、環境省が直接許可を出さないのは、廃棄物処理が地域密着型であり、**「環境保全責任を地元自治体が負う」**という制度設計に基づいているからです。建設業許可のように国が一括管理する仕組みとは異なり、産業廃棄物の特性や地域ごとの環境事情を考慮した地方分権型の運用が行われています。

産業廃棄物収集運搬許可申請なら産廃収集運搬申請特化の行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。

個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
JWセンターの収集運搬過程終了の行政書士による講習試験アドバイス
経理的基礎である財務把握はもちろん、中小企業診断士とタイアップ
最短3日で申請!

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗