
1.多量排出事業者の定義
多量排出事業者とは、1年間に排出する産業廃棄物の量が「特別管理産業廃棄物50トン以上」または「産業廃棄物1,000トン以上」になる事業者をいいます。
排出量が大きいほど社会的影響も大きくなるため、法律では通常の排出事業者よりも厳格な管理が求められます。
多量排出事業者に該当するかどうかは、毎年の事業活動から生じる廃棄物の種類・排出量を正確に把握しなければ判断できません。日常的な数量管理が基礎となります。
2.義務① 多量排出事業計画書の提出
多量排出事業者に該当すると、都道府県知事等に対し、**「多量排出事業計画書」**の提出が義務付けられます。
計画書では、次の内容を整理します。
- 排出量の見込みと削減方針
- 再資源化・適正処理の具体的取り組み
- 排出量管理体制の整備状況
- 委託処理の方法・体制
この計画は単なる提出書類ではなく、事業者自身が自社の廃棄物管理を見直すための計画策定ツールとして機能します。
3.義務② 多量排出事業実施状況報告書の提出
計画書を提出した翌年度には、**「実施状況報告書」**の提出が必要になります。
ここでは、計画どおりに削減・管理が進んでいるかを確認し、改善点を明らかにします。
- 排出量の実績値
- 委託処理の内容と確認状況
- 目標達成率と課題
- 翌年度に向けた改善策
行政は提出された計画と実施状況を踏まえて指導を行い、事業者側の取組を継続的に改善する仕組みになっています。
4.義務③ 排出量の把握・帳簿管理の徹底
多量排出事業者は、通常の排出事業者以上に 排出量の計測・記録・保存の精度が求められます。
主な管理項目は次のとおりです。
- 毎月の排出量の計測・記録
- 手選別・圧縮・保管量などの内部処理の可視化
- 委託契約内容の整合性確認
- 許可証・マニフェストの適正管理
とくに排出量は計画書・実施状況報告書の根拠となるため、曖昧な推計ではなく、数量の裏付けを伴う記録が必要です。
5.義務④ 自主的な排出抑制・再資源化の取組
多量排出事業者には、法律上 「排出抑制」 と 「再資源化」 を進める努力義務があります。
具体的には、次のような取組が効果的です。
- 工程改善による排出量の削減
- リサイクル先の拡大
- 社内の分別基準の明確化
- 原材料ロスの削減活動
- 委託先と連携した再資源化比率の向上
事業者規模が大きいほど削減効果も大きく、環境配慮の姿勢は取引先からの信頼にも影響します。
6.押さえるべき管理ポイント
多量排出事業者に該当する企業が注意すべき重要点は、次の3つです。
(1)排出量の正確な把握
計画書・報告書の根拠は「数量管理」です。
廃棄物ごとに計量記録、保管量、委託量を明確に残すことが最重要です。
(2)委託処理の適正確認
委託契約書、許可証、マニフェスト、実地確認を組み合わせ、委託先が適正に処理しているかを確認します。
排出量が多いほど不適正処理のリスクも高くなるため、より厳格なチェックが必要です。
(3)計画書・報告書の内容整備
行政は書類の内容と実態の整合性を重視します。
計画書と実績が乖離している場合、改善指導が入ることもあります。
書類作成は「実態の見える化」と「改善の仕組みづくり」として活用することが望まれます。
7.まとめ
多量排出事業者は、排出量の多さから社会的影響も大きく、法律では通常より厳格な管理が求められています。
排出量の把握、委託処理の確認、計画書・報告書の作成を通じて、継続的に自社の廃棄物管理を改善していくことが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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