産業廃棄物の区分を判断する際、重要となる考え方の一つが**「排出時業種の特定」**です。
これは、廃棄物が発生した時点で、どの業種の事業活動から排出されたのかを基準に、その廃棄物が産業廃棄物に該当するかを判断する考え方です。

廃棄物の性状や見た目だけで判断するのではなく、排出された背景となる事業活動の内容が重視されます。


排出時業種が重視される理由

廃棄物処理法では、産業廃棄物は「事業活動に伴って生じた廃棄物」と定義されています。
そのため、どの業種の、どの工程から発生したのかを明確にする必要があります。

同じ物であっても、

  • 建設業の工事現場から出たもの
  • 製造業の工場から出たもの
  • 小売業の店舗から出たもの

では、法的な扱いが異なる場合があります。


具体的な判断の考え方

排出時業種の特定では、次の点を整理します。

① 排出した事業者は誰か
元請か下請か、あるいは施設の所有者か使用者かを確認します。

② 排出時点で行われていた事業活動
廃棄物が発生した瞬間に、どの業種としての活動が行われていたかが重要です。

③ 排出場所と工程の関係
同一敷地内でも、工程が異なれば判断が分かれることがあります。


よくある誤解と注意点

実務上、次のような誤解が多く見られます。

・後工程の業種で判断してしまう
回収業者や処分業者の業種では判断しません。

・性状だけで区分してしまう
木くず・金属くずなどの品目だけで判断すると誤りになることがあります。

・契約形態だけで判断する
請負・委託の形式よりも、実際の排出実態が重視されます。


複数業種が関与する場合の考え方

建設現場や複合施設では、複数の業種が関与するケースがあります。
この場合でも、排出された時点の業種を一つずつ整理することが基本です。

一括して判断するのではなく、**「誰が・どの立場で・どの工程から出したのか」**を分解して考えます。


排出事業者責任との関係

排出時業種を正しく特定することは、排出事業者責任を明確にすることにもつながります。

業種の特定を誤ると、

  • 不適正処理と判断される
  • 許可外収集運搬になる
  • 行政指導の対象になる

といったリスクが生じる可能性があります。


実務で意識すべきポイント

実務では、次の点を意識すると整理しやすくなります。

・排出時点を明確にする
・事業活動の内容を文章で説明できるようにする
・契約書・作業内容と整合させる

判断に迷う場合は、行政庁の運用や指導に基づいて確認する姿勢が重要です。


まとめ

排出時業種の特定は、産業廃棄物の区分判断において非常に重要な考え方です。
物ではなく、行為と業種を見ることが基本となります。

適切な特定を行うことで、廃棄物処理の適正化と、不要なリスクの回避につながります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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