石綿(アスベスト)は、かつて建築資材を中心に広く使用されてきましたが、健康被害の問題から現在は厳しく規制されています。そのため、石綿を含む廃棄物は、通常の産業廃棄物とは異なる取扱いが求められます。

本記事では、石綿含有産業廃棄物の定義について、実務で押さえるべきポイントを整理します。


石綿含有産業廃棄物とは

石綿含有産業廃棄物とは、石綿を含有する産業廃棄物のうち、特別管理産業廃棄物に該当しないものを指します。

廃棄物処理法では、石綿を含む廃棄物は次のように区分されています。

  • 飛散性が高いもの
     → 特別管理産業廃棄物(廃石綿等)
  • 飛散性が低いもの
     → 石綿含有産業廃棄物

この区分は、処理方法や許可内容に直接影響するため、正確な理解が必要です。


対象となる主な廃棄物の例

石綿含有産業廃棄物に該当する代表例は、次のようなものです。

  • 石綿を含むスレート屋根材
  • 石綿含有の成形板(ケイ酸カルシウム板など)
  • 石綿を含む外壁材・内装材
  • 石綿含有の床材、パネル類

これらは、解体工事や改修工事に伴って排出されることが多く、建設系産業廃棄物として扱われるケースが一般的です。


含有率による判断基準

石綿含有産業廃棄物に該当するかどうかは、石綿の含有率が重要な判断基準となります。

一般的には、

  • 石綿含有率が0.1重量%を超えるもの
     → 石綿含有産業廃棄物に該当とされています。

設計図書やメーカー資料、分析結果などをもとに判断することが多く、外観だけで判断することは避けるべきとされています。


特別管理産業廃棄物との違い

混同されやすいのが、**廃石綿等(特別管理産業廃棄物)**との違いです。

区分主な特徴
廃石綿等吹付け石綿など、飛散性が高い
石綿含有産業廃棄物成形材など、飛散性が低い

この違いにより、

  • 収集運搬の許可区分
  • 保管方法
  • 処分方法

が大きく変わるため、実務では慎重な確認が求められます。


取扱い上の基本的な注意点

石綿含有産業廃棄物を扱う際は、次の点が重要です。

  • 破砕・切断を行わず、原形を保つ
  • 飛散防止措置を講じる
  • 表示・区分を明確にする
  • 適切な許可を有する業者に委託する

これらを怠ると、廃棄物処理法違反や労働安全関係法令違反につながる可能性があります。


実務でよくある注意点

実務上、次のような場面で誤認が生じやすいとされています。

  • 「非飛散性だから通常の産廃でよい」と判断してしまう
  • 分析結果がなく、含有の有無が不明なまま処理を進める
  • 委託契約書やマニフェストの記載が不十分

石綿の有無が不明な場合は、慎重に確認する姿勢が重要です。


まとめ

石綿含有産業廃棄物は、**「石綿を含むが、飛散性が低い産業廃棄物」**として位置付けられています。

通常の産業廃棄物よりも、管理・取扱い・判断の正確性が強く求められる区分であり、解体・改修工事に関わる事業者にとっては特に重要な知識です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。


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