建設廃棄物(建設工事に伴い生ずる廃棄物)の処理責任は元請業者にある が、元請業者が事業者としての取扱いの可能性について

①建設工事前の建築物その他の工作物を支配・管理していた者、すなわち発注者を 特定してしまうような建設廃棄物は少なからずあります。

これが不法投棄された場合、建設工事に伴って生 じたものであるからといってその責任が元請業者に対する追及までで終わることは、法的にはあっても 社会的(道義的)にはありえないことから不可能です。

以上の点を相応のリスクとして評価している発注者が多いことは事実 です(とりわけ、製造・医療・電力に関連する大手の企業に顕著です)。

②発注者は往々にして、組織的にも、人材的にも、また資本的にも廃棄物管理の能力が元請業 者より高いと考えられるため、廃棄物の適正処理を確保するという法の精神を踏まえれば発注者の主張 は妥当なー面もあるように思われますが、それを可能とする根拠や解釈はないようです。

ただし特別管 理産業廃棄物のPCB廃棄物については「PCB廃棄物処理特別措置法」に基づき原則として譲渡し及び譲 受けが禁止されており、建築物その他の工作物の所有者を保管事業者としていることから、元請業者が 事業者となってその保管又は処理を行うことはできません。

以上の考え方は「建設工事」に伴い生ずる廃棄物に限られており、それゆえ想定する事業活動が建設 工事であるか否かにより特定するべき事業者が変わってくることに注意してください。

③法は、それ以上、建設工事の定義を明確に規定していません。

少なくとも工作物の新築、改築又は 除去やこれらの建設工事の範囲に含まれるものは法で規定される建設工事であると思われます。

したがっ て小規模機械設備のメンテナンス業務等といった建設工事でないと判断できる事業活動に伴って生じた 廃棄物の事業者には発注者が該当し、それゆえ元請業者がその収集運搬又は処分を行う場合は、廃棄物 処理業の許可等を受けている必要がある(発注者に対しては、廃棄物処理委託基準等が適用される)の で注意が必要です。

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吉田哲朗
吉田哲朗