事業者としてのビル管理者
ビル管理業務の一環として、 ビル管理者が各々のテナントにより排出され た産業廃棄物の集荷場所を建物敷地内に提供している場合において、業務の内容上、集荷場所で実際に それらの産業廃棄物を管理し、産業廃棄物処理業者へ引き渡しているのはビル管理者です。
この場合、各々のテナントがマニフェストを交付しなければならないですが、通常、集荷場所にテナントの従業員がいないのでビル管理者が事業者になります。
そ れらの産業廃棄物に対し、マニフェストを一括して交付しようとした考えた場合の問題性について検討していきます。
産業廃棄物の処理責任
上記のケースの産業廃棄物の処理責任は各々のテナントにあり、ビル管理者が事業者に なることは認められません。
確かに事業者の名義によるマニフHストの交付業務を集荷場所の提供者(土地提供者)が代行することはマニフェスト交付義務違反にならないとされていますが、あ くまでそれは代行であって、土地提供者が事業者となって自らの名義によるマニフェストの交付を 行うことを無条件に認めるものではありません。
ただし集荷場所を事業者に提供しているという実態があり、産業廃棄物が適正に回収・処理されるシ ステムが確立している場合は、事業者の依頼を受けて土地提供者が自らの名義によるマニフェストの交 付を行ってよいとされています。
具体的な例
具体的には、次の場合が例として示されています。
・農業協同組合、農業用廃プラスチック類の適正な処理の確保を目的とした協議会又はそれを構成す る市町村が農業者の排出する廃プラスチック類の集荷場所を提供する場合
・ビル管理者等がビル賃借人の産業廃棄物の集荷場所を提供する場合
・自動車ディーラーが顧客である事業者の使用済み自動車の集荷場所を提供する場合
注意点
以上の考え方はマニフェストの交付に限るものであり、処理委託の契約については原則どおり事業者 が自らの名義により締結しなければならないので注意してください。
なお下請業者を事業者と見なすことにより建設廃棄物の自ら運搬を行う場合、マニフェストの交 付は元請業者の名義によるものでなければなりませんが、元請業者が下請業者を経由してそれを行うに あたり下請業者にB2票の送付義務やC2票の保存義務はありません。
この場合の下請業者は事業者と見 なされており、運搬受託者に該当しないからです。したがってマニフェストの運搬受託者欄や運搬の受 託欄に、下請業者の氏名又は名称等を記入する必要はありません。
ただし交付担当者欄には、交付を担 当した下請業者の運転手等の氏名を記入する必要があります。
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