近年、建物の解体や改修工事において問題視されているのが「廃石綿等(はいせきめんとう)」の適正処理です。廃石綿等は、石綿(アスベスト)を含む建材の解体・除去に伴い発生する産業廃棄物であり、法令に基づいた厳格な取り扱いが義務付けられています。


石綿とは?

石綿(アスベスト)は、耐熱性・耐摩耗性・断熱性に優れた天然鉱物繊維で、かつては建材などに幅広く使用されていました。しかし、**吸入による健康被害(中皮腫・肺がんなど)**が明らかになり、現在ではその製造・使用は原則禁止されています。


廃石綿等の分類と取り扱い

廃石綿等は、産業廃棄物として以下のように分類されます。

分類内容特別管理産業廃棄物か?
吹き付け石綿スプレー工法で施工された石綿 特別管理産業廃棄物(飛散性が高い)
石綿含有成形板スレート、ケイ酸カルシウム板など×(飛散性が低く通常の産廃扱い)

特別管理産業廃棄物に該当する場合は、「特管収集運搬業」「特管処分業」の許可が必要です。


廃石綿等の処理の流れ

  1. 事前調査(建築物石綿含有建材調査者による)
  2. 除去作業計画の届出(労働基準監督署・自治体)
  3. 適切な養生・湿潤化・封じ込め作業
  4. 特別管理産廃として適切な容器に封入・表示
  5. 許可業者による収集運搬・処分
  6. マニフェストの交付・管理

よくある違反とそのリスク

  • 無許可業者への委託 → 廃掃法違反で刑事罰の対象
  • 記録不備 → マニフェスト不交付・報告義務違反
  • 養生不備 → 石綿の飛散による周囲住民への健康被害リスク

罰則:5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)

まとめ

廃石綿等の処理は、「人命に関わる問題」であると同時に、「企業の社会的責任」も問われる重要な業務です。適正処理・法令遵守に不安のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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