1 複数県申請の基本的な考え方

産業廃棄物収集運搬業の許可は、各都道府県ごとに独立しています。
そのため、愛知県で許可を受けても、岐阜県や三重県など他県で収集運搬を行うには、それぞれの県に新たに申請が必要です。

もっとも、申請に必要な証明書類の多くは共通しているため、最初に取得した資料を有効活用できる場合があります。

2 代表的な証明書と扱い

複数県申請で共通して提出を求められる証明書には、次のようなものがあります。

  • 登記事項証明書
    → 写し提出で可。有効期限は発行から3か月以内。
  • 納税証明書
    → 写し提出で可。ただし県ごとに様式や種類が異なる場合がある。
  • 許可証の写し
    → 最初に取得した県の許可証を提示し、写しを他県の申請でも利用可能。
  • 車検証や車両使用契約書
    → 写し提出で可。

3 登記されていないことの証明書

特に注意すべきなのが、「登記されていないことの証明書」 です。

  • 成年被後見人や被保佐人として登記されていないことを証明するために必要
  • 法人の場合は代表取締役、個人事業主の場合は本人について提出
  • 原則として原本提出が必要
  • 有効期限は発行から3か月以内
  • 各県申請ごとに新たに取得するのが基本

4 原本提示+写し提出の運用

ただし、実務上は以下のような取り扱いを認める自治体もあります。

  • 窓口で原本を提示し、その場で写しを提出する方法

この場合でも、すべての県で一律に認められるわけではありません。
必ず申請先の担当窓口で事前に確認する必要があります。

5 証明書ごとの整理表

複数県申請における証明書の取扱いをまとめると、以下のようになります。

証明書類原本提出写し提出有効期限備考
登記事項証明書不要3か月全国共通
納税証明書不要3か月種類は県で差異
許可証(他県で取得済みのもの)不要制限なし最初の許可証を提示
車検証・車両使用契約書不要有効中
登記されていないことの証明書原則必要条件付可3か月原本提示+写し提出を認める県もある

6 まとめ

複数県に申請を行う際のポイントは次の通りです。

  • ほとんどの証明書は写しで提出可能
  • 許可証は最初に取得したものを提示し、他県申請でも利用できる
  • 「登記されていないことの証明書」は原則原本が必要で、各県ごとに新しく取得するのが基本
  • 一部自治体では「原本提示+写し提出」の運用が認められる場合があるため、事前確認が重要

証明書の取得や提出方法を理解しておくことで、複数県にまたがる申請も効率的に進めることができます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、
公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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