建設現場では、解体工事や改修工事に伴って大量の廃棄物が発生します。
これらの廃棄物を適正に処理し、資源として再利用することを目的に制定されたのが、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」、いわゆる建設リサイクル法です。


建設リサイクル法の目的

この法律の目的は、限りある資源を有効に活用すること、そして廃棄物の排出抑制と環境負荷の低減です。
具体的には、建設資材の中でも再利用可能な「特定建設資材」を対象としています。これらを分別・再資源化することで、埋立処分量の減少や、資源循環型社会の形成につなげています。


対象となる特定建設資材

建設リサイクル法の対象となる主な資材は、次の4種類です。

  • コンクリート
  • アスファルト・コンクリート
  • 木材
  • コンクリート及び鉄からなる建設資材

これらを使用している解体工事・新築・改築・修繕工事のうち、一定規模以上の工事(例えば解体工事で床面積80㎡以上など)は、分別解体と再資源化が義務づけられています。


届出の義務と工事発注者の責任

建設リサイクル法では、工事の**発注者(元請業者ではない)**に対して、工事開始7日前までに都道府県知事(または政令市)への届出を義務づけています。
この届出は「建設リサイクル法に基づく届出書」として提出し、再資源化の対象工事であるかどうかを明示することが求められます。

さらに、発注者は工事の分別解体や再資源化の適正な実施を確保する責任があります。
請負業者は、実際に現場での分別や運搬・処理を適切に行う義務があります。


現場で求められる分別解体

建設リサイクルを実現するためには、現場での分別解体の徹底が重要です。
例えば、コンクリートと木材を混合したまま運搬すると再資源化が困難になります。
そのため、工事前に計画的な分別方法を定め、各資材を別々に撤去・搬出することが基本です。

また、工事現場では粉じんや騒音などの環境対策も必要となります。
解体時の散水・防音シートの設置など、地域住民への配慮も求められます。


再資源化の流れ

分別された建設資材は、産業廃棄物処理業者によって運搬され、破砕・選別・再利用の工程を経て再資源化されます。
例えば、コンクリートは再生砕石として道路の路盤材に、木材は燃料チップや再生ボードの原料として利用されるなど、新たな資材として再び社会に還元されます。


違反した場合の罰則

届出を怠った場合や、分別解体を行わなかった場合は、罰則の対象となります。
特に、無届工事を行った場合は30万円以下の罰金が科せられることもあります。
法令に基づいた適正な運用を行うことが、行政指導やトラブル防止のためにも重要です。


建設リサイクルの今後

今後は、単なる廃棄物削減だけでなく、カーボンニュートラル社会の実現に向けた建設資材の循環利用が求められます。
再生資材を積極的に使用することや、設計段階からリサイクルを意識した**「サーキュラー・デザイン」**の導入も注目されています。
行政・企業・市民が一体となり、持続可能な建設業の形を築くことが大切です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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