
建設工事では、工事の実施に伴い産業廃棄物が発生します。これらの廃棄物を適正に処理するためには、まず 「排出事業者」 が誰であるかを正確に把握する必要があります。排出事業者を誤って判断すると、処理委託契約・マニフェストの交付・最終処分の確認など、廃棄物処理に関する重要な実務に不整合が生じる可能性があります。
1.排出事業者とは何か
排出事業者とは、事業活動により廃棄物を発生させた者 を指します。建設工事においては、工事の実施そのものが廃棄物の発生源となるため、原則として その工事を請け負った業者 が排出事業者に該当します。
土地の所有者や施主が排出事業者になるわけではなく、あくまで工事を行う事業者側に責任が生じます。
2.元請業者が排出事業者となるケース
多くの現場では、元請業者が排出事業者 と扱われます。
● 元請が排出事業者となる主な理由
- 工事全体の請負契約を締結している
- 現場全体の統括管理を行う立場にある
- 廃棄物管理を包括的に担う体制になっている
そのため、処理委託契約・マニフェスト交付・最終処分確認など、廃棄物処理に関する主要な手続きを元請が行うケースが大半です。
3.下請業者が排出事業者となるケース
例外として、下請業者が排出事業者となる場合 があります。
● 下請が排出事業者となる状況
- 特定工種を下請が独立した請負として実施している
- 廃棄物がその工種の範囲内でのみ発生している
- 契約上、その作業に関する責任を下請が負っている
代表例として、解体工事や内装工事などを専門業者に一括で任せているケースがあります。ただし、元請が現場を一元管理している場合には、排出事業者は元請と判断されることが一般的です。
4.排出事業者を誤るリスク
排出事業者の判断を誤ると、次のような問題が発生します。
- 処理委託契約が正しく締結されない
- マニフェストに記載される主体が誤る
- 廃棄物処理フローの整合性が崩れる
- 行政指導や是正指示につながる可能性がある
工事開始前に請負関係・作業範囲・発生する廃棄物の種類を把握し、責任の所在を明確にしておくことが重要です。
5.排出事業者を判断する際の確認ポイント
以下の視点を確認すると、排出事業者を整理しやすくなります。
●(1)工事の請負契約内容
誰がどの工事を請け負っているかを確認する。
●(2)廃棄物の発生源
どの作業から廃棄物が出ているかを把握する。
●(3)現場の統括体制
元請が一元管理しているかどうかを確認する。
●(4)処理委託契約・マニフェストの主体
工事全体の管理と実務フローを照らし合わせる。
6.施主(発注者)は排出事業者ではない
建設現場の土地所有者や発注者は、通常 排出事業者には該当しません。
排出事業者はあくまで工事を請け負った事業者であり、施主が廃棄物処理責任を負うことはありません。
7.まとめ
建設工事における排出事業者は、工事を請け負った業者が原則 です。多くの場合は元請が排出事業者となりますが、特定工種を下請が独立して請け負う場合には、下請が排出事業者となることもあります。
排出事業者の判断は、契約・マニフェスト・確認責任など、廃棄物処理の基盤となるため、工事内容や契約関係を整理したうえで適切に判断することが求められます。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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