
1 燃え殻、ばいじんの処理方法
燃え殻とばいじんは、両方とも物を燃やすことに発生する産業廃棄物です。
燃え殻とは、廃棄物を焼却した後に発生する焼却残さのことです。
ばいじんとは、物を燃やしたときに発生するススや、微細な燃えかすなどの個体粒子状の物質のことです。
燃え殻とばいじんの多くは、フレキシブルコンテナなどの容器に収納した状態で、管理型最終処分場で埋め立て処分されます。
有害物質が含まれている場合は、固化や溶解などの安定化処理を行ないます。
2 汚泥の処理方法
汚泥は水分を大量に含んでいますので、脱水などの中間処理を行なったうえで、最終処分や再利用が行われています。
汚泥は、堆肥、埋め戻し材、路盤材や骨材として再利用されます。
3 廃油の処理方法
廃油は、鉱物性油、動植物油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチなど、すべての産業から排出される使用済み油です。
廃油の基本的な処理方法は焼却です。
廃油の再利用としては、燃料としての再利用と、他の原料への再生の2つの方法があります。廃油の中でも、廃食用油は、バイオディーゼル油や石けんとして再生されます。
4 廃酸・廃アルカリの処理方法
廃酸は、写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類などの酸性廃液です。
廃アルカリは、写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん液などのアルカリ性廃液です。
廃酸・廃アルカリは液体t状の廃棄物であり、最終処分場に埋めることができないため、焼却か中和が行われます。
それ以外にも、廃液自体を再利用する方法や、中和生成物から有価物を取り出す方法などの、廃液の再利用が広く行われています。
5 廃プラスチック類の処理方法
廃プラスチック類は、使用後廃棄された各種のプラスチック製品とその製造過程で発生したくずなど、プラスチックを主成分とする産業廃棄物です。合成樹脂くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)などがあります。
廃プラスチック類は、資源として再利用できる産業廃棄物であるため、リサイクル手法として、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクル、固形燃料化などがあります。
リサイクルではない、純然たる処理方法としては、焼却と安定型最終処分場などがあります。ただし、焼却の場合でも、最近は、ただ単に廃プラスチック類を燃やす単純焼却ではなく、焼却熱を発電などに利用する熱利用焼却が主体になっています。
6 紙くずの処理方法
紙くずは、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から排出される紙くずや、建築土木工事に伴って排出される紙製の諸材料・包装材などです。
紙くずの処理方法には、焼却や管理型最終処分場での埋め立てなどがあります。そのほかにも、古紙の場合は、製紙原料として再利用されています。
感熱紙などの製紙原料として再利用できない紙くず、RPF(固形燃料)としてリサイクルされています。
7 木くずの処理方法
木くずは、建築業、木材・木製品製造業、家具・装備品製造業、パルプ紙・紙加工品製造業などから排出される木材片、おがくず、パーク類などの廃材です。
木くずは、原料や燃料として再生利用されています。原料としては、製紙原料、ボード原料、堆肥原料、マルチング材の原料などに利用されています。燃料としては、燃料用チップやバイオマス燃料などに利用されています。
8 繊維くずの処理方法
繊維くずは、繊維工業(紡績・織布工場)から排出される木綿くず、羊毛くずなどの天然繊維くず、工作物の新築・改築・除去にともなって発生する廃繊維製品などです。
繊維くずは、RPF(固形燃料)の原料として使われています。ポリエステルなどの化学繊維の場合は、繊維原料として再生利用されています。繊維くずとプラスチックなどを混合して、擬木などの成型品の製造も行われています。
9 動植物性残さの処理方法
動植物性残さは、食料品、医薬品、香料製造業の製造工程から排出される産業廃棄物です。あめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあらなどがあります。
動植物性残さは、腐敗しやすく、悪臭や害虫の発生源となりうる産業廃棄物ですが、バイオマスエネルギーとして有効に再生利用することができます。主に、肥料や飼料として再生利用されていますが、メタンガス発酵などの技術も実用化されています。
10 金属くずの処理方法
金属くずには、鉄鋼、非鉄金属の研磨くず、切削くずなどを製造工程から排出されるものと、建築廃材の金属部分があります。
金属くずのリサイクルには、鉄、銅、アルミニウムなどの精錬(不純物が多い金属から、純度の高い金属を取り出すこと)や、廃棄物から金属を回収する金属回収などの方法があります。
使用済みパソコンなどのプリント基板からは、金や銀などの貴金属やレアメタルが回収されています。
11 ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずの処理方法
ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずには、ガラス類(板ガラスなど)、製品の製造過程などで生じるコンクリートくず、インターロッキングくず、レンガくず、石こうボードなどが含まれます。
ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずは、破砕をして、安定型最終処分場に埋め立てられています。ガラスくずは、ガラス原料(カレット)、道路や歩道などの塗料材料、路盤材や再生骨材の原料としても再使用されています。
12 鉱さいの処理方法
鉱さいには、高炉、転炉、電炉などの残さい、キューポラのノロ、ボタ、鉄鋼業、輸送機械製造業から排出される鋳物排砂、非鉄金属製造業のアルミドロスなどがあります。
高炉や電気炉などから発生する鉄鋼スラグは、セメント原料、路盤材、アスファルトやコンクリートの再生骨材などに再生利用されています。鋳物廃砂は、路盤材や再生骨材、セメントの原料として再生利用ができます。
13 がれき類の処理方法
がれき類は、家屋・ビルなどの建物などの撤去時に出るコンクリートや舗装補修工事で掘り起されたアスファルトがらなどの産業廃棄物です。
がれき類は、破砕処理後に、再生路盤材、再生砕石、再生アスファルト合材、再生骨材などとして再利用されています。再利用されないがれき類は、破砕処理で大きさを小さくしたうえで、安定型最終処分場に埋めています。
14 感染症廃棄物の処理方法
感染症廃棄物とは、医療機関などから発生した血液など、人が感染するおそれにある廃棄物のことです。感染症廃棄物は、最終処分場に埋め立てることができませんので、焼却か溶解処分をされています。
感染症廃棄物は、バイオハザードマークを付けられた専用の保管容器で運搬され、焼却施設や溶解施設で、そのまま処理されています。感染症廃棄物のトレーサビリティ(追跡の可能性)を確保するため、ICタグを利用して追跡を行う手法も開発されています。
15 アスベストの処理方法
アスベストは、蛇紋石や角閃石が繊維状に変形したもので、天然の鉱石です。石綿とも呼ばれます。
アスベスト廃棄物には、飛散性アスベストと非飛散性アスベストがあります。
飛散性アスベストの処理には、セメント固化などを行って管理型最終処分場に埋め立てられる方法と、溶解処理をしてアスベストが検出されない状態にする方法があります。
非飛散性アスベスト廃棄物は、破砕など中間処理することなく、管理型最終処分場に埋め立てられます。
16 PCB 廃棄物の処理方法
PCBは、生体に対する毒性が高いうえに、脂肪に蓄積しやすい性質があります。また、体内にPCBを摂取してしまうと、ガンや皮膚障害の原因となることが明らかにされています。
このような危険性があるため、PCB廃棄物は、全国5ヶ所(北海道、東京、豊田、大阪、北九州)に設置された処理施設で処理されています。
PCB廃棄物を処理する技術には、脱塩素か分解法、水熱酸化分解法、光分解法、プラズマ分解法の5つの方法があります。
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