~適正処理の要を支える重要書類の構成と記載ポイント~

産業廃棄物の収集運搬・処分を適正に行うためには、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の活用が欠かせません。ここでは、その書式の基本構成と記載内容について解説いたします。


1. マニフェストの種類と書式の違い

マニフェストには以下の2種類があります。

種類概要書式の特徴
紙マニフェスト(JIS規格)A票~E票からなる複写式用紙JIS A 2205に準拠。6枚複写が基本。
電子マニフェスト(JWNET)インターネットで情報登録・伝達書式の物理的様式は不要。項目構成は紙と同様。

2. 紙マニフェストの基本構成(JIS A 2205)

紙マニフェストは、以下の6枚で構成されます。

票の種類受け取る者用途・役割
A票排出事業者控え発行控え。処理の起点記録。
B1票収集運搬業者控え運搬開始の証明用。
B2票排出事業者返却分処分業者が処分後に返送。
C1票処分業者控え処分実施者の記録。
C2票排出事業者返却分最終処分完了後、返送される。
D票・E票(特管のみ)中間処理・最終処分用特別管理産業廃棄物のみ追加使用。

3. 主な記載項目

マニフェストには次のような重要項目を記載します。

  • 排出事業者情報(名称・住所・連絡先・許可番号等)
  • 産業廃棄物の種類・数量・性状
  • 収集運搬業者の情報
  • 処分業者の情報
  • 運搬日・処分日
  • 最終処分方法の内容

※記載ミスや未記載は、不適正処理とみなされる可能性がありますので注意が必要です。


4. 書式の入手と記載例

紙マニフェストは、産廃協会、産業廃棄物処理業者団体、または文具店等から購入可能です。
電子マニフェスト利用時も、記載内容は紙と同様の情報構成になります。

記載例(紙マニフェストA票の一部):

排出事業者名 :有限会社〇〇産業  
廃棄物種類  :廃プラスチック類(石綿含まず)
数量     :500kg
運搬業者   :株式会社△△運輸(許可番号:123456789)
処分業者   :株式会社□□リサイクル(許可番号:987654321)


5. 適切な保存と管理

排出事業者は、マニフェストを5年間保存する義務があります。紛失や記載ミスは行政処分の対象になることもあるため、管理体制の整備が必要です。


まとめ

マニフェストは単なる伝票ではなく、「産業廃棄物の命の記録」とも言える重要な書類です。正しい書式と記載内容を理解し、適正処理と法令遵守を徹底しましょう。

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吉田哲朗
吉田哲朗