再生可能エネルギーの導入促進を目的とした制度として、「FIT(固定価格買取制度)」「FIP(フィードインプレミアム制度)」があります。どちらも再エネ発電の普及に寄与する重要な仕組みですが、制度の内容や目的は異なります。今回はそれぞれの制度の特徴と違いについてわかりやすくご紹介します。


■ FIT制度(固定価格買取制度)とは?

FIT(Feed-in Tariff)制度は、再生可能エネルギーで発電された電気を、国が定めた価格で電力会社が一定期間、買い取ることを義務づけた制度です。日本では2012年に導入され、太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマスといった再エネ発電の拡大に大きく貢献しました。

主な特徴:

  • 価格保証:国が定めた固定価格で、一定期間(例:20年間)電力を買い取ってもらえる。
  • リスク低減:収益が安定するため、再エネ発電への投資が促進される。
  • 導入初期向け:主に導入段階での普及促進に有効。

■ FIP制度(フィードインプレミアム制度)とは?

FIP(Feed-in Premium)制度は、発電事業者が市場で電気を販売した際に、一定の「プレミアム(上乗せ額)」を国から受け取る仕組みです。2022年に本格的に導入され、FITの次の段階として位置づけられています。

主な特徴:

  • 市場連動:発電事業者が電気を市場価格で販売し、その上にプレミアムが加算される。
  • 自立支援:市場での販売活動を通じて、発電事業者の自立を促す。
  • 需給調整に貢献:市場価格に応じて供給タイミングを工夫するインセンティブが働く。

■ FITとFIPの違い

比較項目FIT制度FIP制度
売電価格固定市場価格+プレミアム
販売先電力会社(買取義務)市場(電力取引所など)
リスク少ない(価格保証)高い(価格変動あり)
発電者の役割受け身積極的に販売活動

■ どちらが向いている?

  • FIT:小規模な事業者や、初めて再エネ事業を始める人に向いています。
  • FIP:市場動向に対応できる中〜大規模事業者向け。収益性と柔軟性を追求する段階で有効です。

■ まとめ

FITFIPは、どちらも再生可能エネルギーの普及を目的としていますが、そのアプローチは大きく異なります。今後のエネルギー政策では、FITからFIPへの移行が進むと見られており、発電事業者にはより柔軟な対応力が求められます。

制度の違いを理解し、適切な選択を行うことが、持続可能なエネルギー社会への第一歩です。

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