産業廃棄物処理の最終段階である埋め立て処分は、環境への影響が大きいため、厳格な基準が設けられています。今回は、この埋め立て処分の基準について分かりやすく解説します。


1. 埋め立て処分の定義と役割

埋め立て処分とは、リサイクルや焼却などの中間処理を経ても処理できない廃棄物を、最終的に土地に埋めて処分する方法です。管理型処分場安定型処分場などの専用施設で行われ、廃棄物の飛散や地下水汚染を防止するための措置が求められます。


2. 廃棄物の種類による処分基準の違い

埋め立て対象の廃棄物には、次の2種類があります。

  • 安定型廃棄物:コンクリートがら、がれき類、ガラスくず、陶磁器くずなど、有害物質が溶け出さない性質を持つもの
  • 管理型廃棄物:汚泥、廃油、廃酸など、一定の処理を要し、環境への配慮が必要なもの

この分類により、処分場の種類や施設基準も変わります。不適切な廃棄物の混入は重大な法令違反につながるため、搬入前の選別が重要です。


3. 埋め立て処分場に求められる構造基準

埋め立て処分場の施設は、以下のような厳格な構造基準を満たす必要があります。

  • 遮水シートや遮水層の設置:地下水への浸透を防ぐ
  • 浸出水の収集・処理設備:廃棄物から出る水分を集めて処理
  • 覆土や飛散防止ネット:臭気や粉じんの飛散を防止

これらは、環境基準を維持しながら安全な埋め立てを行うために不可欠な要件です。


4. 搬入前の事前確認と選別

埋め立てを行う前に必要なのが、搬入予定廃棄物の性状確認と書面での管理です。搬入基準に適合しない廃棄物は受け入れできず、事前に以下の確認が求められます。

  • 含有する有害物質の有無
  • 含水率やpH値の範囲
  • 前処理(乾燥・脱水・固化など)の実施状況

搬入基準を逸脱している場合、処分場側は受け入れを拒否する法的義務を負います。


5. 適正な埋め立て処分の必要性

埋め立て処分は、事業者の社会的責任が問われる行為です。不適切な処分は、地下水汚染や土壌汚染を引き起こすリスクがあり、行政処分や損害賠償の対象になることもあります。

そのため、処分委託先の選定は慎重に行い、**適正処理の証明書類(マニフェスト)**の管理徹底が必要です。万が一、委託先での不正が発覚した場合でも、排出事業者の責任が問われるため、信頼できる処分業者との連携が重要です。


まとめ

埋め立て処分は、「最終処分」としての役割を担いながらも、環境への影響が大きいため、法律や構造の面で厳格な基準が設けられています。日々の処分業務の中で、その意味を理解し、法令順守と環境配慮を両立させることが求められます

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