
災害時に発生する膨大な廃棄物
地震・台風・豪雨などの自然災害が発生すると、建物の倒壊や浸水により大量の廃棄物が発生します。これを**「災害廃棄物」**と呼びます。
木材、コンクリートがら、金属、家電、生活ごみなどが混在し、迅速かつ安全な処理が求められます。
しかし、災害廃棄物は通常の一般廃棄物や産業廃棄物と同様に、法律に基づいた適正処理が必要です。
処理に必要な主な許可
災害廃棄物を処理する場合でも、産業廃棄物処理業の許可または一般廃棄物処理業の許可が必要になります。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、次のように定められています。
- 収集運搬業の許可
→ 災害廃棄物を運搬する際に必要です。被災地から仮置場や処分場まで安全に輸送するための基準が定められています。 - 処分業の許可
→ 災害廃棄物を中間処理(破砕・選別)や最終処分(埋立て等)する場合に必要です。 - 特別管理産業廃棄物の許可
→ 石綿(アスベスト)やPCBなど、有害物を含む廃棄物が発生した場合に必要となります。
被災地での特例措置
大規模災害時には、通常の許可を持たない事業者も一時的に処理業務に携わる場合があります。
これは**「災害廃棄物対策特別措置」**によるもので、国や自治体が処理計画を策定し、許可要件を一部緩和して応急的な対応を可能にしています。
ただし、緩和措置を受ける場合でも、環境保全や安全対策の基準を守ることが求められます。
実際の処理の流れ
災害廃棄物の処理は、次のような段階で進められます。
- 現場での分別と一次仮置き
がれき、木くず、金属類などを分別します。 - 仮置場への搬入・中間処理
破砕・圧縮・焼却などの中間処理を行い、再利用可能な資源を選別します。 - 最終処分場への搬送
リサイクルできないものは、許可を持つ最終処分場で適正に処理します。
これらの工程すべてにおいて、許可を有する業者が関与することが原則です。
許可業者が求められる責任
災害廃棄物の処理では、スピードだけでなく環境への影響を最小限にすることが求められます。
そのため、許可業者には次のような責任が発生します。
- 損傷した廃棄物による二次災害の防止
- 仮置場や運搬ルートでの飛散・流出防止
- 作業員の安全確保と感染症対策
- マニフェスト伝票による処理経路の明確化
適切な処理を行うことで、被災地域の早期復旧・復興につながります。
行政との連携が重要
災害時には、国・県・市町村が連携して廃棄物処理体制を構築します。
事業者は、自治体の指示に従って作業することが基本となります。
また、平時から自治体が地域の処理業者と協定を結び、緊急時の体制を整えておくことも重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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