1、委託先処理業者の現地確認の努力義務
現地確認は、2011年4月から施行されている廃棄物処理法改正によって、新しく排出事業者の努力義務になりました。
罰則がないため、現地確認を怠った場合でも、ペナルティが科されることはありませんが、排出事業者責任をまっとうするするためには、委託先の処理業者の資質を精査し、委託契約のとおりに廃棄物処理ができるかどうかを、確認することが不可欠です。
そのため、現地書確認に罰則の適用がないといえ、現地確認を怠ると、委託先業者の不正が見抜けず、不法投棄などの不祥事に巻き込まれるおそれがあるので注意して下さい。
2、適切な処理業者を選定するためには
適切な業者を選定するためのテェックポイントは、
①許可内容の確認
②行政処分歴の有無
③処理フローの明確性
④事業場の様子
⑤情報公開の姿勢
⑥処理業者の財政状況
⑦近隣住民からの評判
の7つです。
3、許可内容を確認する
①委託先や名称や住所をテェックし、他の業者の許可証ではなく、確実にその処理業者の許可証であることを確認します。
②許可の有効期限をみて、実際に委託したい時期まで有効かどうかを確認します。更新申請中であるときは、許可期限過ぎても、産業廃棄物処理業を行うことができます。その場合は、新しい許可証ができた段階で、すぐ写しを送ってもらい、委託契約書に最新の許可証を添付しましょう。
③委託する産業廃棄物の種類が、許可証の中に含まれているかどうかを確認します。
④収集運搬で、積替え・保管場所への運搬を委託する場合は、許可証に記載されている保管場所の面積と容積を確認し、委託する産業廃棄物を保管する余裕があるかどうか検討します。
⑥中間処理を委託する場合は、許可証に記載されている産業廃棄物処理施設の処理能力を確認し、中間処理を委託する量を受け入れても、処理に余力があるかどうか確認します。
⑦許可の条件で、施設の稼働時間や、取り扱える具体的な産業廃棄物が限定されている場合がありますので、確認が必要です。
4、行政処分歴の有無を確認する
産業廃棄物処理業者の行政処分歴を確認することは、適法に産業廃棄物の処理を委託するか確認できます。
次に、処理業者の経営方針を知ることができます。
行政処分歴の有無を確認する方法は、都道府県もしくは政令指定都市の担当部局に照会する必要があります。
照会するときのポイントは、
①現在、行政処分を受けているか
②過去、その処理業者に対し行政処分がされた事実はあるか(過去5年間)
③行政処分を受けた場合、それはどのような処分(報告徴収、立入検査、改善命令、措置命令)であるか
などです。
5、処理フローは明確になっているか
処理フローとは、中間処理業者が開示する、産業廃棄物の中間処理後に残った残さの処理を委託、あるいは売却する相手に関する情報です。
明確性とは、誰がみても、その処理フローが明確にわかるかどうかです。
中間処理後の残さの処理フローについては、「どこに」、「誰が」、「どうやって処分するのか」、という3点です。
6、事業場の様子をテェックする
事業場の様子を観察するだけで、処理業者に関する様々な貴重な情報が手に入ります。
みるべきポイントは、①作業場所が整然と整理されているか、②事務所内に委託契約書や台帳が保存されているか、の2点です。
7、情報公開の姿勢はどうか
優良産業廃棄物認定制度では、法人の基礎情報、取得した産業廃棄物処理業の許可内容、処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物の処理状況等の情報を、インターネット上で公開を求めています。
ポイントとして、
①処理事業者が地域住民等と良好な関係を保っているかどうかは判断材料の1つです。
②事業の透明性に関する評価基準として、法人の基礎情報(名称、代表者、資本金その他)、取得した産業廃棄物処理業の許可内容、処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物の処理状況等の情報を、インターネットでの公開を求めています。
③処理料金について、産業廃棄物の性状や荷姿によって大幅に変化します。そのため、料金のある程度の目安を公開していることです。
8、処理業者の経営状況を分析する。
処理業者の貸借対照表や損益計算書などの決算書は、経済活動が役員など個人の経済活動と切り離されて適切に会計処理される体制になっているかどうかといった企業としての基礎や、企業の安定性、収益性、成長性、生産性など、処理業者の経営状況を評価する材料とすることができます。
また、決算書から、その処理業者が不適切な産業廃棄物の処理を行うリスクを、ある程度予測することもできます。
9、近隣住民から評判を聞く
実際に現場に行って、近隣住民に処理業者に関する情報を聞くことにより、振動・騒音・悪臭の有無、周辺住民とのコミュニケーションがうまくとれているかなどについて確認することができます。
10、優良産廃処理業者認定制度を利用する
優良な産業廃棄物処理業者を育成していくため、2011年から、優良産廃処理業者認定制度がスタートしました。
優良と認定された処理業者には、許可の有効期間が7年に伸びる等の現実的なメリットが付与されます。
優良産廃処理業者認定制度は、①遵法性、②事業の透明性、③環境配慮の取組、④電子マニフェスト、⑤財務体質の健全性という、5つの指標に着目して、その処理業者の優良性を判断しています。
11、委託先処理業者の危険な兆候とそれを見抜くための着眼点
処理業者が倒産するリスクがないか、委託先の経営状況に関する情報収集することが必要です。
処理企業の現場を見ることによってある程度わかります。
ポイントとして、以下2点があげられます。
倒産リスクとして、①廃棄物の保管量が明らかに多い(未処理の廃棄物が多い)②「排出量」に比べて、「運搬量」が多い、③異常に安い処理料金を設定、④複数の処理業者から「あの会社の経営は相当危ないらしい」という評判が立つ。
不法投棄リスクとして、①早朝や夜間に廃棄物が搬出されることが多い、②「産業廃棄物運搬車両」の表示がない車の出入りが増えた、③従業員が会社に対する不満を口にすることが多い
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